木は呼吸するを考えてみました。

ちょっとした家具のミニ知識

~「木」のこと編~

家具を扱う私たちにとって、天然木は身近なものである一方、自然素材であるための特性をよく理解し、そしてそのことをきちんとお客様にお伝えしなければなりません。

それは、

木が1点1点、木目やフシの位置や数、色見、表情が違うこと、

そして、木が呼吸をしているため、反ったり割れたりすることがあるということです。

この「木が呼吸する」は普段、家具販売に関わる者は、当たり前のように言っている言葉。

何となくニュアンスは分かりますが、初めて聞いた時の違和感が今も抜けきらないので(笑)この言葉について、ちょっと考えてみました。

 

「木が、呼吸する」

 

と言うと、正直ちょっと怖い気がしませんか。

 

もちろん、人が呼吸するのと同じように空気を吸って、吐いてをしているのではありません。(笑)

簡単に言いますと、木に含まれている水分が、出たり入ったりしているので、水分を吸って、吐いてという意味で「呼吸する」と言われているのだとか。

 

つまりこういうことです。

冬場の空気が乾燥する時期には木に含まれている水分は抜けていき、梅雨や夏場などの湿気が多い時期には木は水分を吸収していきます。

 

この水分が出たり入ったりしていくことについて、もう少し詳しくみていきましょう。

 

そもそも生育中の木の中には、木にとって必要な養分や水分が蓄えられており、この養分や水分は、木が伐採され、製材されて空気に触れると抜けていきます。

 

 

その時に木は反ったり、割れたりして動くのですが、

この「動き」を少なくするためにどうするかと言うと、伐採、製材後、天日干しなどして乾燥させるのです。

 

木工製品にとってはこの乾燥が重要で、この乾燥が不十分だったり、反対に乾燥させ過ぎると、そりや割れの原因になるため、家具や建材などに加工できる材料になるまでに、伐採、製材した後は数年間の乾燥(養生)期間が必要になります。

 

つまりこのようなイメージです。

 

➀自然に生育中の木

②伐採

③製材

④乾燥

⑤木工製品に加工される前に

製材後にすぐに材料として使える訳ではなく、

 この乾燥期間は数年間必要。

 

ということになり、

木が伐採されてから、加工ができるようになるまでは、意外と時間がかかるのです。

 

★伐採された木

↓↓↓

乾燥中の木

↓↓↓

この木の乾燥についても、天然乾燥、人工乾燥とありまして

また、木に含まれる水分(含水率)をどれくらいにするのか。。。

とか、そのあたりを話すとどんどん長くなってしまいますので、その話はまた別の機会にしたいと思います。

 

それでは話を戻しまして、

つまり、木にはもともと水分が含まれていて、伐採、製材後に、その水分は抜けて乾燥していきます。

この水分はゼロになることはなく、乾燥をさせた後でも絶えず、水分を吸収したり、放出したりしていて、このことを「木が呼吸をする」と言われているのです。

 

この「木の呼吸」は

製品になった後も続きまして、

冬場に空気が乾燥してくると、

人間の肌が乾燥するのと同じで、木は湿気を放出して乾燥し、縮みます。

また、梅雨の時期や夏場は空気中の湿度も上がっていきますので、木も湿気を吸って膨らみます。

 

ですので、

天然木の商品は反りや割れが起こってしまうのは、木の持つ特性ということになるのです。

 

ただ、家具などを製造する工場の人々も、もちろんできる限り反らないように、そしてできる限り割れないように、っと力を注いでくれてはいますが、なかなか全く動かないようにするというのは難しいようです。

 

 

 ちなみにこの木の呼吸は、木本来の質感を強く残すように仕上げられた自然塗料を使った仕上げ、オイル仕上げの時に起こりやすく、反対にウレタン塗装のように、木の表面を塗膜で覆ってしまうと、「板の呼吸」がとまりますので、反りや割れは少なくなります。

 

 「木が呼吸する。」

 これは人工物では起こらず、自然素材であるために起こることです。

木も人間と同じで一つ一つ個性が違うのでどう動くのか分かりません。

木製品は私達の身の回りに溢れていますが、どれも地球の大切な資源を使って作らているものばかりです。

私達販売する側の者は、そのような木の特性をよく理解して伝えていくことが大切な使命だと考えています。